Japanese
English
症例報告
隆鼻目的のヒアルロン酸注入による虚血性皮膚・眼障害の1例
A case of skin ischemia and vision loss after hyaluronic acid filler injection
井ノ口 早苗
1
,
延山 嘉眞
1
,
朝比奈 昭彦
1
Sanae INOKUCHI
1
,
Yoshimasa NOBEYAMA
1
,
Akihiko ASAHINA
1
1東京慈恵会医科大学皮膚科学講座
1Department of Dermatology, The Jikei University School of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
フィラー注入療法
,
副作用
,
虚血性皮膚障害
,
眼障害
Keyword:
フィラー注入療法
,
副作用
,
虚血性皮膚障害
,
眼障害
pp.21-25
発行日 2021年1月1日
Published Date 2021/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206244
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要約 34歳,女性.美容外科クリニックで鼻部にヒアルロン酸を注入した直後より皮膚障害,眼障害をきたし,同院でヒアルロニダーゼ局所投与とコルチコステロイド全身投与後に当院を紹介された.鼻背から前額部の紫斑,鼻尖・鼻翼部の壊死,左眼の視力低下・外斜視がみられた.ヒアルロン酸が鼻背動脈を介して眼動脈に注入され,その枝が閉塞したことによる症候と考え,眼球マッサージ,アルプロスタジルの外用と静注,バイアスピリン内服を開始した.初診11日後に眼位は正位に回復したが,左視力は改善しなかった.また,初診4日後には鼻尖・鼻翼部の皮膚が潰瘍化した.フィラー注入療法の局所的な有害事象として,紅斑,瘢痕,肉芽腫形成,感染,結節腫瘤など,動脈閉塞を介した重篤な有害事象として,失明,眼筋麻痺,脳梗塞,皮膚壊死などが報告されている.フィラー注入療法を行う際は技術の習熟と合併症への速やかな対応の用意が必要である.
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