Japanese
English
症例報告
多発性外毛根鞘囊腫の1例
A case of multiple trichilemmal cyst
山田 翔子
1
,
脇 裕磨
1
,
延山 嘉眞
2
,
福地 修
1
,
朝比奈 昭彦
2
Shoko YAMADA
1
,
Yuma WAKI
1
,
Yoshimasa NOBEYAMA
2
,
Osamu FUKUCHI
1
,
Akihiko ASAHINA
2
1東京慈恵会医科大学附属柏病院皮膚科
2東京慈恵会医科大学皮膚科学講座
1Department of Dermatology, The Jikei University Kashiwa Hospital, Kashiwa, Japan
2Department of Dermatology, Jikei University School of Medicine, Tokyo, Japan
キーワード:
多発性外毛根鞘囊腫
,
皮膚附属器腫瘍
Keyword:
多発性外毛根鞘囊腫
,
皮膚附属器腫瘍
pp.249-253
発行日 2021年3月1日
Published Date 2021/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206294
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要約 56歳,男性.30歳頃より頭部,顔面の結節を自覚し,増大・増数傾向のため当科を受診した.初診時,後頭部,頭頂部,右頰部に最大4cmの多発する皮膚色,可動性良好な弾性硬の結節および腫瘤を6か所に認め,すべて切除した.病理組織学的に,外毛根鞘性角化を有する囊胞状構造であり,囊胞内腔には硝子様の過角化がみられたため,多発性外毛根鞘囊腫と診断した.外毛根鞘囊腫の多発例は海外で多く報告されているが,国内では自験例を含めて17例と少ない.常染色体優性遺伝例も報告されており,自験例では母,姉に同様の皮膚症状があるため,家族内発症の可能性がある.遺伝性の本症の原因として,3番染色体上のTRICY1やPLCD1遺伝子などの変異が指摘されている.また外毛根鞘囊腫は増殖性外毛根鞘囊腫や悪性増殖性外毛根鞘囊腫への移行の可能性もあり,好発部では注意深い経過観察や積極的な切除が望ましいと考える.
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