--------------------
あとがき
渡辺 大輔
pp.192
発行日 2020年4月10日
Published Date 2020/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206062
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
今年もこの増刊号「最近のトピックス」をお届けできる季節となった.編集委員が昨年からネタ探しをし,多数の先生方に原稿をご依頼し,出来上がったゲラを一通り読むと,改めてこの1年の皮膚科学の進歩を実感できる.毎年,この増刊号は,年度も改まった爽やかな春にふさわしいものであると思っていた.しかし,今年は桜も咲きはじめたのに全く心が晴れない.これを書いている4月初頭現在,武漢から広がった新型コロナウイルス感染症は全世界に拡がり,まさにパンデミックの状態であり収束の気配はいまだ見えない.わが国でも,首都圏をはじめとして緊急事態宣言が出され,まさに正念場である.われわれの周囲でもさまざまな学会,研究会が中止や延期となり,また感染が身の回りで現実のものとなると,すべての方々が自分や家族,医局員や職員の生活がどうなるのか,さまざまな不安や葛藤の中で春を迎えているのではないだろうか.
世間では時差出勤やテレワークが盛んに推奨されているが,大学においても,新学期を迎えるにあたり学生教育をどのように行うかの議論のなかで,ICT(information and communication technology)を用いたビデオ講義を採用するところも多いと聞く.是非はともかく,テレワークとともにビデオ講義,会議,診療などの技術の発展はパンデミック対策の一環を担うものであるし,もっと本質的には,個々の症例を重ねた上での診断技術,治療技術の向上,そしてワクチンの開発へと,時間はかかるかもしれないが人類の英知の結集により,このパンデミックは乗り越えられるものと信じている.
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.