Japanese
English
症例報告
脊髄損傷患者に発症した,Edwardsiella tardaによる骨髄炎が示唆された坐骨褥瘡感染の1例
A case of sciatic decubitus infection, in a spinal cord injury patient, with a possibility of osteomyelitis caused by Edwardsiella tarda
白鳥 隆宏
1
,
加藤 晴久
1
,
木下 幸恵
1
,
福盛 達也
2
Takahiro SHIRATORI
1
,
Haruhisa KATO
1
,
Sachie KINOSHITA
1
,
Tatsuya FUKUMORI
2
1星ヶ丘医療センター皮膚科
2星ヶ丘医療センター感染制御内科
1Division of Dermatology, Hoshigaoka Medical Center, Hirakata, Japan
2Division of Infectious Diseases, Hoshigaoka Medical Center, Hirakata, Japan
キーワード:
褥瘡
,
脊髄損傷
,
Edwardsiella tarda
,
骨髄炎
Keyword:
褥瘡
,
脊髄損傷
,
Edwardsiella tarda
,
骨髄炎
pp.1085-1088
発行日 2016年12月1日
Published Date 2016/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204952
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要約 54歳,男性.若年時に頸髄損傷を受傷した.以後,坐骨部に褥瘡を繰り返していたが,創傷被覆材の貼付でその都度改善していた.受診時38℃台の発熱があり,左坐骨部に熱感,発赤,腫脹を伴う褥瘡を認めた.MRIでは坐骨部に骨髄炎を疑う異常信号を認め,創部浸出液からはEdwardsiella tardaが検出された.第5病日目に簡易的な壊死組織除去術を行い,創部壊死組織の培養でも同様にE. tardaを認めた.第15病日目に骨髄炎の起炎菌を同定するため,抗生剤を2日前から中止した状態で2回目の壊死組織除去術および骨生検を施行した.坐骨骨髄,褥瘡底の肉芽からの培養は陰性であったが,画像診断の結果からE. tardaによる骨髄炎と診断した.第140病日目でのMRIの画像上,異常陰影は消失しており骨髄炎は改善を認めた.外科的に骨切除することなく抗生剤投与の保存的加療で褥瘡も治癒した.E. tardaによる骨髄炎は稀であり腸管以外の感染症例では致死率が高く,早期の治療介入が必要と考える.
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