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あとがき
塩原 哲夫
pp.708
発行日 2009年8月1日
Published Date 2009/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102396
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投稿されてくる論文や,編集委員のコメントに対する回答には,自ずと著者の誠意が現れる.プリントした字体であっても美しく丁寧に書かれたものに,出来の悪いものは余りない.それに対し,乱雑に手書きで書かれたものに,満足のできる回答があった試しがない.外面の美しさはその文章を読む気にさせる(つまり内面の素晴らしさに気付かせる)重要な要素である.
アメリカに留学したとき,彼らが投稿論文の仕上げの美しさに非常に気を遣っているのに驚いた記憶がある.日頃,雑然として何て汚いのかと驚くような研究室にいる住人が,プリントしたばかりの投稿論文(その当時,電子投稿はなかった)をまるで宝物のように扱っていたことを昨日のように思い出す.しかも,日頃尊大で,きれいな言葉なぞついぞ聞いたことのない研究者が,こんな英語の表現を知っていたのかと思うような丁寧な表現で,レフェリーに対する回答に感謝の言葉を連ねるのである.しかし,自分がそのような雑誌のレフェリーになってみて,それも止むを得ないと思うようになった.レフェリーのコメントに対し,しっかり答えていないと判断されれば,それだけでrejectされてしまうからである.
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