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あとがき
塩原 哲夫
pp.266
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204697
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かつて高校生だった筆者を魅了したテレビ番組があった.テレビ時代劇の最高傑作と評される『新選組血風録』である.番組終了後数十年を経ても,有志による定期的な鑑賞会が開催されていたが,現在はDVD化され,いまだに新しいファンを獲得し続けている.司馬遼太郎氏の原作のイメージに合った俳優が無名の役者の中から選ばれ,当時すでに斜陽の兆しがみえていた邦画のスタッフや脚本家が格安の予算で制作したのがこの作品であった.珠玉の輝きを放つ各話の中にうかがえる「滅びの美学」は,その後の筆者の人生哲学の基礎ともなって,その生き方に少なからぬ影響を与えた.
その成功を受け,5年後には同じ題材,制作陣で,『燃えよ剣』が作られたものの,恵まれない環境下でも何とか良い作品を作り出したい,という熱情によって生み出された前作とは何かが違っていた.
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