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あとがき
塩原 哲夫
pp.690
発行日 2008年8月1日
Published Date 2008/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102079
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子供の頃,偉人伝を読むのが好きだった.いつも思ったのは,偉人たちは何と揃いも揃って幼児期に辛い体験をしているのだろうということだった.例えば,明治の偉大な政治家,児玉源太郎は,幼少時に目の前で肉親を殺されるなど,PTSDになってもおかしくないような苛酷な体験を何度もくぐり抜けて成長してきたのである.
今,日本は若い人に夢を与えられない社会だと言われる.若い人が無差別殺人に走るのも,無気力なのも夢のない社会のせいだという論調が多い.学生時代に挫折したせいで世の中を恨んで殺人に走るような人が出てくると,若い時に挫折を与えるような教育が良くないという意見になる.しかし,いくら小中学校時に成績が良くても,優秀な学生が集まる高校に入れば成績が下がるのは当然ではないだろうか?それを挫折と捉え立ち直れないなら,そうした学校を選ぶべきではない.常に上位にいられるような学校を選び,プライドと自信を失わないようにすればよいのだ.
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