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あとがき
小川 郁
pp.992
発行日 2019年10月20日
Published Date 2019/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411202220
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外科系各領域で低侵襲手術が急速に普及しています。実は,低侵襲手術に不可欠な内視鏡を初めて外科手術に導入したのは耳鼻咽喉科・頭頸部外科で,1985年にMesserklingerが鼻の穴を利用するkeyhole surgeryである内視鏡下副鼻腔手術を報告したのが初めです。Mouretが腹部内視鏡下手術を行う2年も前のことで,その後,1990年代になってから多くの外科手術が内視鏡下の低侵襲手術になってきています。
内視鏡下副鼻腔手術は,従来の裸眼での副鼻腔手術の概念を覆す画期的な変革であったことに異論はないと思います。一方,耳科手術には1950年代にいち早く顕微鏡が導入され発展してきたこともあり,内視鏡の導入は限定的でした。しかし,耳科手術用の内視鏡や周辺手術機器の開発によって,内視鏡下耳科手術もこの約10年間にあっという間に普及してきました。これがTEESと呼ばれる経外耳道的内視鏡下耳科手術です。今年,米国ボストンで第3回World Congress on Endoscopic Ear Surgeryが開催され,日本からも多くの耳科医が参加しました。2年後には欠畑誠治教授(山形大学)が会長となり,京都で第4回のWorld Congressが開催される予定となっています。TEESがさらに大きく開花する契機になることは間違いありません。
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