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猛暑とゲリラ豪雨,まさに異常気象です。6月号で初めてこの苦手な『あとがき』を担当させていただいてから早いもので3カ月が過ぎ,再び9月号の『あとがき』の執筆依頼が届きました。折しも,東京では真夏日,熱帯夜が14日間続いています。7月のこの猛暑は100年以上の気象記録で初めてのことだそうです。ニュースでは連日,熱中症の患者数が報道され,また海水温の上昇から何百万匹の養殖魚が死滅,日本海では熱帯でしか観察されない猛毒ダコの生息が確認されています。まさに日本は亜熱帯国の仲間入りで,いつマラリアや黄熱,デング熱などの熱帯病が発生してもおかしくない状況のようです。とはいいましても,今の私にとりましては熱帯病より苦手な『あとがき』を完成させることが喫緊の課題ではあるのですが…。
先日の『耳喉頭頸』編集会議で,『耳喉頭頸』では『あとがき』から読み始める愛読者が少なくないということをお聞きしました。『あとがき』なんか読む人は少ないだろうと高を括っていましたが迂闊でした。思えば,食べ方でも好きなものをはじめに食べる人もいれば,最後の楽しみにとっておく人もいて十人十色です。『あとがき』から読み始める愛読者が多いのも頷けますが,そう思うと緊張でペンを握る掌が汗ばんできます。次回からはもっと気合いを入れて苦手な『あとがき』を書かなければならないようです。
さて,9月号ですが,まずお勧めしたいのは特集『好酸球関連の病変』です。最近,好酸球性中耳炎や副鼻腔炎などの好酸球関連疾患が話題となっており,しかもいずれもが難治性のレッテル付です。臨床の最前線で好酸球関連疾患に難渋している読者も多いと思います。特集では好酸球の総論から好酸球関連疾患の最新知見まで,大変勉強になる好企画です。また,シリーズの『聴覚中枢』も最新の知見を散りばめ,かつ教育的なすばらしい総説だと思います。原著はいずれも興味ある症例報告で読み応えがあります。今年の9月はきっと厳しい残暑が続いていると思いますが,9月号は素晴らしい内容ですので暑さを忘れて読み通せると思います。読んだ後は熱帯夜でも熟睡できること間違いなしですので,ぜひ通読してください。この『あとがき』もお読みいただきありがとうございました。次回もより気合いが入った?『あとがき』でお会いできることを楽しみにしております。
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