- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
超高齢社会を迎え,認知症の増加が社会問題となっています。最近の同窓会やクラス会の話題の一つも親の認知症問題で,人ごとでは済まされない問題となっています。加齢性難聴をはじめとする難聴も超高齢化とともに急増しています。いわゆる団塊の世代が75歳に達する2025年には超高齢化が加速度的に進むものと予測されており,難聴者は1400万人にも達するといわれています。2015年,厚生労働省は「認知症施策推進総合戦略〜認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて〜」の戦略として新オレンジプランを発表しましたが,このプランのなかで認知症の危険因子に初めて難聴が加えられました。海外でも認知症と難聴との関係が検討され,そのレビューとして,昨年7月にLancetに発表された“Dementia prevention, intervention, and care”で,医学的介入が可能な危険因子として難聴が9%と最も影響が大きいと報告されたのを契機に,難聴と認知症との関係が医学的にのみならず社会的にも注目されるようになっています。
一方,本邦における補聴器普及率は欧米に比べてきわめて低いと言われており,その理由の一つとして,補聴器購入に際しての公的補助制度や補聴器供給システムの問題が指摘されています。その解決策の一つとして,本年から日本耳鼻咽喉科学会認定の補聴器相談医が発行する「補聴器適合に関する診療情報提供書(2018)」によって認定補聴器販売店などで補聴器を適合,購入した場合に,医療費控除を受けることができるようになりました。今後,この制度が浸透することによって補聴器供給システムも改善し,補聴器の適切な普及が進むことが期待されます。補聴器相談医の先生方にはこの新しい制度に是非ご協力いただきたいと思います。
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.