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週刊医学界新聞をご存知でしょうか。医学書院が1955年に創刊し,医学・医療の最新トピックを伝え続けてきました。その前身は科学図書新聞で,1955年2月(153号)から醫學界新聞と改題されました。1955年生まれということは私と同い年。来年で60周年を迎えます。前身の科学図書新聞からは1昨年3000号を迎えたことになり,その際の金原優医学書院社長の言葉のとおり,約60年間一貫して医学・医療関連領域の最新のニュース,医療制度・医学教育制度の改革ならびに医学研究と医療技術の進歩,医学関連学会の動きなどをいち早く伝え,医学・医療関連領域の発展,進歩に大きな貢献をしてきました。今後も医学新聞としての先進的な役割を果たしていただきたいと思います。
さて,今月号の特集は「鼻副鼻腔内視鏡手術Update」です。60年前の鼻副鼻腔手術といえば当教室の西端驥一教授がpolysinusectomyやpansinusectomyとして多くの副鼻腔手術法を発表していた頃ですが,当時は副鼻腔の単洞化と副鼻腔粘膜全剝離・除去を裸眼下に行うのがコンセプトでした。しかし,1970年頃から内視鏡が導入され,MesserklingerやStammbergerによって可及的に粘膜を保存するfunctional endoscopic sinus surgery(FESS)が提唱され,1990年頃からはESSとして副鼻腔手術の主流になりました。額帯鏡を用いて裸眼で行っていた頃を思い起こしますと本当に隔世の感があります。今回の特集では前頭洞炎を含めた慢性副鼻腔炎に対する内視鏡手術から,やや特殊な好酸球性副鼻腔炎や副鼻腔真菌症から鼻副鼻腔良性腫瘍や下垂体腫瘍,眼窩吹き抜け骨折まで臨床の現場で遭遇する対象疾患をほぼ網羅しています。副鼻腔疾患以外でもアレルギー性鼻炎や鼻涙管狭窄・涙道閉鎖,鼻出血など内視鏡手術の良い適応になる疾患も含めました。また,鼻副鼻腔内視鏡手術では常に合併症が問題となりますが,その回避法・対処法についても詳しく解説していただきました。本格的な手術書で学習することも重要ですが,手術前に術式を再検討したり,術中に手軽に確認するなど,本特集を手元において鼻副鼻腔内視鏡手術に関する最新情報を手軽に活用していただきたいと思います。自信をもってお勧めしますので,ぜひご一読ください。
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