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登山家・三浦雄一郎氏が5月23日に3度目のエベレスト登頂に成功しました。「地球のてっぺんに着いた!世界最高の気分だ」,まさに80歳7か月という世界最高齢でのエベレスト登頂の快挙です。超高齢社会を迎えた日本では1950年に100人足らずだった百寿者が現在は約5万人と,この60年の間に500倍にも急増し,80歳という年齢もごく普通になっていますが,やはり80歳でのエベレスト登頂は驚くべきことです。三浦雄一郎氏といえば富士山直滑降の成功から,世界七大陸最高峰全峰からの滑降を成し遂げたプロスキーヤーとして知られ,「The Man Who Skied Down Everest」と題する映画でアカデミー賞も受賞しています。また,実父の故三浦敬三氏も99歳でモンブランの氷河からのスキー滑降を成功させるなど,まさに脅威のアンチエイジングファミリーということができます。ぜひ,一度,三浦ファミリーの聴力を測ってみたいものです。
さて,今月号の特集は「分子標的薬時代の耳鼻咽喉科診療―処方するとき,服用患者を診るときのポイント」です。超高齢化のなかで高齢者の悪性腫瘍が増加していますが,これら高齢者の悪性腫瘍,特に再発例・転移例に対する分子標的薬の効果が期待されています。セツキシマブは上皮成長因子受容体(EGFR)に結合して,EGFRの働きを阻害するモノクローナル抗体ですが,昨年12月に頭頸部癌に対する適応追加が承認されました。まさに絶好のタイミングでの特集といえると思います。分子標的薬の総説から,頭頸部癌に対する分子標的薬治療として処方の実際から将来展望までを各分野のエキスパートに解説していただきました。さらに分子標的薬を服用する患者の診方として頭頸部癌以外の固形がん患者,白血病・悪性リンパ腫患者,自己免疫疾患患者を対象としてこれまでの多くの経験からわかりやすくまとめていただきました。これから耳鼻咽喉科医としても知らないでは済まされない治療薬になることは明らかですので,ぜひ一読していただければと思います。
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