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新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の猛威が衰えません。コロナウイルスは発熱や上気道症状を引き起こすウイルスで,ヒトに感染を起こすものは6種類あることがわかっています。鳥類やヒトを含めた哺乳類などに広く存在し,エンベロープ上にコロナ(王冠)のような蛋白質の突起を持つことが特徴で,これが名前の由来にもなっている一本鎖RNAウイルスです。6種類のコロナウイルスのうち,中東呼吸器症候群(MERS)や重症急性呼吸器症候群(SARS)など,重症化傾向のある疾患の原因ウイルスもありますが,それ以外の4種類のウイルスは,一般の風邪の原因の10〜15%(流行期は35%)を占めます。
中華人民共和国 湖北省武漢市において,令和元年12月以降,新型コロナウイルス関連肺炎の発生が報告され,中国湖北省を中心に急増し,世界各国からも発生が報告されています。すでに死亡者もSARSによる数を上回っています。日本国内では本年1月15日に,武漢市に渡航歴のある肺炎患者からこのウイルスが検出されたのが初例です。日本でもクルーズ船内での集団感染や,マスク・消毒薬の品切れ,中国人を中心とするインバウンドの旅行者の激減で観光地も悲鳴をあげるなど,連日報道が続いています。日本政府も入国者や帰国者に対する健康状態の確認や入国制限など水際対策に躍起で,感染が確認された際に強制的な入院などを勧告できる“指定感染症”に定め,国を挙げて感染拡大を防ぐ体制づくりが進められています。まだいつ収束に向かうのか不透明で,7月からの東京オリ・パラ大会に対する影響も心配されていますが,WHOを中心とした世界規模でのしっかりとした対策を講じて,1日も早い収束と,東京オリ・パラ大会が予定通りに開催されることを期待したいと思います。
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