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あとがき
小川 郁
pp.880
発行日 2014年9月20日
Published Date 2014/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200020
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エボラ出血熱の集団感染が大変なことになっています。西アフリカで拡大するエボラ出血熱についてWHOは「緊急事態」を宣言し,世界的流行を防ぐため国際協調による対応を呼びかけました。さらに死者が1,400名を超え,アフリカ大陸外への波及が懸念される状況から,「制御が困難な状況に陥っている」として各国の水際作戦の必要性を強調しました。3月にギニアで集団感染が報告され,その後,隣国のリベリア,シエラレオネにも波及し,7月にはナイジェリア,サウジアラビアでも感染が確認されました。成田空港を初めとして日本でも厳戒態勢となっています。
以前,アフリカからアメリカに持ち込まれた致死性の高いウイルスに立ち向かう人々を描いたダスティン・ホフマン主演の『アウトブレイク』という映画が話題になりました。主役のウイルスは架空のモターバ・ウイルスでしたが,そのモデルはエボラウイルスといわれています。実際,ワシントン首都圏で発生したエボラ出血熱のカニクイザルへの流行を描いた『ホットゾーン』という小説がモデルとなったようです。モターバ・ウイルスは致死率は100%ときわめて高いという設定でしたが,実際のエボラ出血熱も致死率は50〜90%といわれ,その恐ろしさは深刻です。映画さながらのパニックが現実になっています。グローバルな世の中になるということは,このような世界規模の感染症が国内に波及する危険があるということですので,感染症に対する認識を新たにしなければなりません。
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