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インフルエンザの季節になりました。今年もそれぞれ2系統のA型,B型,計4種類のインフルエンザの流行の可能性があり,注意が喚起されています。また,今年は風疹の大流行が話題となっています。国立感染症研究所の発表によれば,2018年に入ってからの感染者数が2000人以上になり,すでに昨年の20倍以上になっています。感染力はインフルエンザの比ではないほど強いとされ,今後も感染者が増加することが危惧されています。風疹は耳鼻咽喉科にとっても関連の深いウイルスで,特に妊婦が感染すると高度難聴を呈する先天性風疹症候群を持った子どもが生まれる可能性が高くなります。米国疾病対策センターは日本の風疹流行を「レベル2」にランク付けしました。3段階の警告レベルのうち,2番目のレベルで,これはエボラ出血熱やジカ熱と同じ警告レベルです。予防接種や過去の感染歴がない妊婦は日本に渡航しないようにという自粛勧告も出されました。日本では危機意識があまり高くはない印象がありますが,米国政府はかなり深刻な状況とみているようです。米国でも1964〜1965年に風疹が大流行したことを契機にワクチン接種が徹底され,2005年に風疹の根絶宣言が出され,2015年にはアメリカ大陸からも排除されました。2018年,オートラリアでも風疹の根絶が発表されています。WHOによりますと,世界194か国中152か国が風疹の予防接種を国の制度に取り入れており,症例数は2000年から2016年にかけて97%減少しています。また,WHOは2020年までに世界レベルでの風疹の根絶を目標に掲げていますが,日本のワクチン行政にとりましてもムンプスワクチン同様,その対応は喫緊の課題といえます。
さて,今月の特集は「役に立つ!アレルギー診療の最新情報」です。ますます増加するアレルギー疾患ですので,診療のコツや最新の対処法について全ての耳鼻咽喉科医に読んでいただきたいと思います。また,3編の原著論文も興味ある症例報告です。春の花粉症の季節も直近ですし,平成31年のスタートですので,新たな気持ちでお読みいただければと思います。
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