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前2回にわたって眼底白点症の遺伝子異常と臨床症状について症例を呈示したが,今回はRDH5とは何かについて解説する。
すでに本シリーズ14の「アレスチン遺伝子異常と網膜変性(2)」で示したように,視サイクルと呼ばれる視物質の代謝回路には多くの酵素が関与している1)。その1つが11—cis retinol dehydrogenase(RDH5)である。ビタミンA代謝の最終段階の発色団(chromophore)形成段階で,その異性体である11—cis retinoiを11—cis retinalに変換するところで働く。11cis-retinalはCRALBP (cellularretinaldehyde binding protein)と結合して色素上皮から網膜下腔に出され,その後IRBP (interphoto—receptor retinol binding protein)と結合し,視細胞外節へと運ばれる(図1)。視細胞外節ではオプシンと結合して外節円盤に取り込まれ,光刺激によりこの11—cis retinaldehydeの11—cisの部分がall—transに異性化し,これが視細胞内で光刺激のエネルギーが電気的な信号に変換される一連の反応(phototransduction cascade)の最初のステップになる。図1に示すように,その後11-cis retinalはall-trans retinolに還元され,これはIRBPに結合して外節から運び出され,色素上皮に取り込まれ,色素上皮内で代謝される。色素上皮内でall-transretinolから11-cis retinolに異性化された後,11-cis retinol dehydrogenaseの働きで酸化されて11-cis retinaldehydeとなり,再び視細胞に戻される。RDH5は32-kDaのミクロゾームの細胞膜に存在する酵素で,色素上皮に発現していることがわかっていた。
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