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連載 眼の遺伝病・7
ペリフェリン/RDS遺伝子異常による網膜色素変性(2)—ペリフェリン/RDSとはなにか
What is the photoreceptor specific protein,“peripherin/RDS”?
玉井 信
1
,
和田 裕子
1
Maleoto Tamai
1
,
Yuko Wada
1
1東北大学医学部眼科学教室
pp.298-300
発行日 2000年3月15日
Published Date 2000/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410906718
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網膜変性を示す動物種はイヌやヒツジなどいくつか知られているが,現在研究に広く使われているものはラット(1種類)とマウス(2種類)である。そのうちのrds (retinal degeneration slow)マウスと呼ばれるモデル動物から網膜変性の原因遺伝子peripherin/RDSが発見された。この遺伝盲マウスでは視細胞のみが生後3週目から変性しはじめ,1年以内に消失する(図1)。この動物についての研究から原因となる遺伝子はマウス17染色体にあり,視細胞外節円板膜に関係した39kDaの糖タンパク質で,牛視細胞膜タンパク質“periph-erin”と92.5%の相同性を持つことからperiph-erin/RDS蛋白または同遺伝子と呼ばれるようになった1〜3)。この糖タンパク質は346個のアミノ酸からなり,円板膜を4回貫通し,アミノ基とカルボキシル基がともに円板膜の外,すなわち視細胞の細胞質内に,また2つのループは円板内(細胞質外)に存在する(図2)。このタンパク質の機能は正確には明らかにされていないが,錐体にも桿体にも存在し,図3に示すような構造で,円板の縁に近く存在することから,円板膜の安定性に寄与しているといわれている。これと30%の相同性を持っROM1(rod outer segment membrane protein1)と呼ばれるタンパク質と協同して,その安定性に関与していると考えられる4〜6)。
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