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特集 第42回日本臨床眼科学会講演集(4)1988年9月 東京
学術展示
Alport症候群の1分症としての網膜症の多様性
Variability of retinopathy in Alport's syndrome
大橋 孝治
1
Kohji Ohashi
1
1聖マリアンナ医科大学眼科
pp.796-797
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410210787
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緒言 Alport症候群は家族性出血性腎炎に感音性難聴と種々の眼症状(角膜環,前部円錐水晶体,前極白内障,偽視神経炎,眼底白点症,黄斑変性症など)を伴うとされている。本症候群は文献的には少なく,しかもどの文献も眼底変化にまで触れたものはごくわずかに過ぎなく,さらに報告により異なった所見を呈しており,Geeraetsがあげた所見だけではないように思われる。
症例 女性,38歳(1980年時)。主訴は両視力障害,V.d.=0.2(0.5×+0.5〓cyl+1.0DA 180°) V.s.=0.3p(0.4p×cyl−1.0D A 90°)で,両側性前部円錐水晶体を呈し,暗順応の軽度な低下が見られ,ERGも両側性に著明な低下を認めた。聴覚は自覚的にも他覚的にも低下していた。眼底所見は軽度な斑紋様所見が両側性に広範囲に認められ,さらに中心窩を囲む小さいdrusen-like spotsが見られたが,眼底白点症は認められなかった。家族歴には父親と同胞7人中,本人を含め4人に腎不全が認められ,以上よりAlport症候群と診断された。なお染色体の分析検査は正常を示した。
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