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今回の特集はオペレコについてでした.この企画を思い立ったのは,私がロボット支援骨盤内臓全摘術を施行した日でした.大きな手術を終えた後に手術メンバーで飲みに行くことは,外科医がよくすることだと思います.長時間の高難度手術をやり遂げた後のビールは格別で,これが経験できるのも外科という分野の大きな魅力の一つではないかとも思っています.国立がんセンター中央病院のレジデント時代も,大腸外科では骨盤内臓全摘術を行った後は必ず,夜の銀座の街に繰り出して飲みに行きました.静岡がんセンター時代に,自分が執刀するようになりましたが,当時はやはり時間がかかり,飲み屋も早く閉まる地域でしたので,行ける店は決まって近くのびっくりドンキー(実は大好物)となっていました.罪悪感なく高カロリー摂取が出来るのも喜びの一つとなります.少しでも早く行けるように,採血を抜管前に行うことなどは,現在の医科歯科大腸マニュアルにも記載されています.徐々に手術時間が短縮され,びっくりドンキーを卒業できた時に大変嬉しかったことを今でも覚えています.一方で,東京医科歯科大に移り,さらに自分の技術も向上し,最近は普通の時間に侵襲も少なく終わるようになってきたとはいえ,それはそれで,上手く手術を終えた達成感と共にするビールはこれまた格別です.業務を終え早く乾杯したいのですが,主治医がオペレコを書き終えず,最初の乾杯に参加できないことがもどかしく,いかに早くオペレコを書き上げるか?が課題となり,今回の企画が生まれた訳でございます.当科では抜管前に書き上げられるようなテンプレートを現在作成しています.一方で,自分には書けませんが芸術的なオペ記録も,日本ならではの手術の上手さを表すもので,教育に有用とも思えます.理由はともあれ,記録として,教育として,働き方改革の一環として,さまざまな工夫が期待されるところだと思っています.
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