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あとがき
小寺 泰弘
pp.1420
発行日 2023年11月20日
Published Date 2023/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407214363
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夜中に呼び出されて緊急手術をすると,仮に1時間の手術であってもその準備,手術室からの連絡待ち,術後の指示出しなどに加えて病院との往復で相当の時間を取られます.それに一旦手術という究極の緊張状態で覚醒させられると,終わったからといってすぐに入眠し翌朝までの残された睡眠時間を有効利用するのは簡単なことではありません.ゆえに翌日の夜まで通常勤務をすると若くても相当疲れますが,そこで長い一日がようやく終わったと思っているとその夜中にまた呼ばれる…という経験はありませんか.緊急手術を要する患者さんが連日搬入されるのはそれほど珍しいことではないという日常において,前日の夜中に緊急手術に従事したとか,当直で救急対応をしまくったとか,諸々の事情を考慮してどの若手を呼び出すかを緻密に考えてもらえるような仕組みは,これまではあまりなかったのではないかと思います.私が働き方改革にもっとも期待しているのは,そのようなところをしっかりと管理していただくことです.
ところが,ようやく時間外労働の管理をしっかりしてくれる方向になると思ったら,今度はこれまでろくに支払っていなかったはずの超過勤務手当を気前よく支給せよとのこと.どれだけ働いても「勉強になってよかったな」で済まされ,今風にいえば過労死レベルの業務を何とかこなしつつ勤務医として生き残った世代の私たちが今,頭を抱えながらどの仕事が業務でどの仕事が自己研鑽かをZ世代の若者たちにハラスメントにならないように説明しなければならないのは何の因果か陰謀かと腹立たしい思いです.
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