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あとがき
瀬戸 泰之
pp.904
発行日 2018年7月20日
Published Date 2018/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212111
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腸閉塞は急性腹症の代表的疾患であり,その頻度も高い.原因も様々であり,治療法の選択も悩ましい.保存的でいいのか,緊急手術の適応なのか,特に夜間,休日などで若手外科医が当直しているときなどは,その対応に苦慮する場面も多いかと思う.筆者も当直していた若いころの苦い経験を昨日のようにしばしば思い出す.若手外科医は本特集を隅々まで熟読し,侮れない急性腹症である“腸閉塞”を極めてほしい.
開腹手術がほとんどであった時代は,その後の癒着による腸閉塞手術自体が,さらなる原因を作ってしまう“poly-surgery”と危惧されていたものである.自分が執刀した症例が腸閉塞になってしまい,それもまた自分が治療しなければならない際には自責の念にかられてしまう.昨今は,腹腔鏡手術における腸閉塞の頻度は開腹術のそれより明らかに少なく,かつ腸閉塞手術自体が腹腔鏡で行われるようになってきていることが本特集から読み取れる.これも時代の進歩と実感するが,絞扼性腸閉塞の手術はいまだ開腹下で行われることも多いと思われる.原因が何であれ,絞扼してしまう前に,手術も含めた適切な治療を検討することが肝要であることは今も変わっていない.若手外科医が腸閉塞を目の前にして治療法選択に苦慮した場面では,躊躇せずただちに上級医にコンサルトしてほしいし,上級医も厭わず丁寧に教えてほしいものである.腸閉塞を経験しない外科医はいない.本来その原因を作ってはいけないことが外科医にとっては一義的であるが,やはり外科医皆が腸閉塞治療の達人になっていただきたいとも感じるところでもある.
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