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あとがき
瀬戸 泰之
pp.382-382
発行日 2015年3月20日
Published Date 2015/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210697
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特集「生検材料を手術に活かす」は,企画した本人(筆者)が驚嘆するくらい予想以上の進歩が実感できる内容となっている.この特集を一読いただければ,生検がいかに重要であるか容易に理解していただけると思う.筆者が医師になりたての30年前は悪性かどうかの診断が目的であった.悪性良性境界病変に対してHEだけでは限界があった.p53の登場により,当時の師匠(ボス)はHEを超える新しい時代が来ると予言されていた.まさしく,その予言をも超える事態となっている.生検材料からtumor biologyだけでなく,治療薬をも選択しうる,しなければならないのである.個別化医療の時代,かつ術前加療が標準となりつつある昨今,切除前の適切な(個別化)治療を判断する材料は生検のみである.外科医も(外科医だからこそ)生検材料をうまく活用する必要があるのである.また,生検の採取方法も臓器でまったく異なることもわかる.若い先生方には,その意義とともに手技的なことも学んでいただければ望外の喜びである.
それにしても,年を重ねると時代の進歩についていくことが難しくなる.しかし,最新最良の診療のためには学ばなければならない.医者は一生勉強である,とはよく言ったものである.
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