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あとがき
瀬戸 泰之
pp.1182-1182
発行日 2015年9月20日
Published Date 2015/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210890
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厚生労働省人口動態によると,平成26年に命を落とした方は全国で1,273,020人であった.うち悪性腫瘍で亡くなった方は367,943人で死因第一位,3.5人に1人が悪性腫瘍で命を落としていることになっている.死因第二位は心疾患であるが,そのほぼ2倍の方が悪性腫瘍で亡くなっているのであり,死因のなかでは唯一右肩上がりなのである.昨今の治療法の展開を考えると,右肩上がりというのは意外な感じもしないでもない.
亡くなった方のなかには発見された時点で,残念ながら根治不能ということも少なくないとは思うが,大多数の方々はいったんは根治,あるいはcomplete responseになったものと思う.癌と伝えられた時点でのショックも相当なものであろうが,一度は「消えました」と言われ,その後「再発」と告げられたときのショックは,さらに増したものになることは想像に難くない.命は永遠のものではなくいずれ絶える,ということは誰でも(医療従事者も患者さんも家族も)知っている.大事なことは,その絶え方であろう.最善を尽くしてもらったという気持ちを抱いてもらうことは我々の責務と考える.一部の再発を除いて,標準的治療の確立は困難であるし,やはりケースバイケースにならざるをえない.もちろん,何の根拠もない治療は行ってはいけない.ただ,外科として何ができるかを本特集から感じ取っていただければ望外の喜びである.
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