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あとがき
栗原 雅直
pp.760
発行日 1966年7月1日
Published Date 1966/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406202086
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フランス留学中いちばんおどろかされたのは,「パリ占領中でもバカンスの習慣は変わらなかつた」ということである。これはフランス人の怠惰と融通のなさを物語るエピソードであって,だからフランスは負けたのだと結論できるが,また逆にだからこそフランスは勝てたのだともいえるのである。すなわち,原則の遵守,ゴール精神,時の流れを保身に利用する巧みと国民性の勁さなどが教訓として引出せるであろう。
ここで医者の生活に話をうつすが,せつかく医学部に入りながら医者を止めたいと思つた経験をもつ人はかなりいると思う。私もその1人であるが,わが国の医者の社会で慣習法と成文法との間のずれがひどいこともその一因であつたように思われる。
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