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特集 脳の生理
〔11〕慢性うえこみ電極ネコおよびイヌの脳波ならびに行動からみた精神安定薬,Barbiturate, Morphineの中枢作用および各薬物間の質的差異について
COMPARATIVE STUDIES ON THE EFFECTS OF TRANQUILIZERS, BARBITURATES AND MORPHINE WITH IMPLANTED ELECTROES IN CATS AND DOGS
山本 研一
1
,
城戸 良之助
1
Ken-ichi Yamamoto
1
,
Ryonosuke Kido
1
1塩野義製薬研究所神経薬理学研究室
1Division of Neuropharmacology, Shionogi Research Laboratory
pp.591-608
発行日 1962年7月1日
Published Date 1962/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201289
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はじめに
大脳辺緑系が視床下部の高位の中枢として感情の表出に支配的役割りを有することが明らかにされていらいら5)7)20)22)23),各種向精神薬の性質や作用機序をめぐつて多くの研究がすすめられている。しかしながら,動物実験により薬物の作用態度を解析する場合にはしばしば実験動物の種speciesが問題になる。つまり,同一薬物の同一用量を投与しても種のちがいによつて,薬物に対する感受性がいちじるしく異なつたり,反応がまつたく相反する場合があるからである。
周知のようにmorphine投与ネコでは終始覚醒,興奮,大量投与によつては痙攣がみられるが27)イヌでは鎮静,睡眠,麻酔が観察される。薬物に対する,このような反応態度の種特異性は,慢性に電極をうえこんだネコおよびイヌの脳波と行動を対象にしてchlorpromazine, reserpine, meprobamate, phenobarbital-Na, pentobar—bital-Na等一連の中枢抑制薬の作用態度を比較した際にも,ままみうけられた。これらの薬物の中枢作用については,すでに個々の動物についていろいろの立場から,数多くの報告があるので1)3)4)8)10)11)12)15)16)19)今回は特に興味のある所見以外は省略して,薬物に対するネコとイヌの間の反応性の差違という観点から,逆に各薬物の中枢作用態度あるいはその質的異同性をながめてみたい。
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