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特集 日米合同セミナー—学習と行動の神経生理学的基礎
ネコにおけるConflict-Induced Behaviorの研究—行動による解析ならびに薬物作用
The Studies on Conflict-Induced Behavior in the Cat: Behavioral Analysis and Effects of Psychotropic Drugs
山本 研一
1
,
木村 易
1
,
内藤 行雄
1
,
城戸 良之助
1
Ken-ichi Yamamoto
1
,
Yasushi Kimura
1
,
Yukio Naito
1
,
Ryonosuke Kido
1
1塩野義製薬研究所・神経薬理学部門
1Division of Neuropharmacology, Shionogi Research Laboratory
pp.33-50
発行日 1971年6月30日
Published Date 1971/6/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904688
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はじめに
動物に恐怖,不安,飢餓などを動機として条件づけを行ない,形成された条件反応を指標に薬物を分類し性格づけてゆく実験方法はいろいろの道具的条件づけ(instrumental conditioning)の開発と相まつて神経―精神薬理学領域における有力な研究方法の1つとなつた(Munn,1950;Courvoisierたち,1957;城戸,1966)。
しかしながら条件反応に影響を及ぼす薬物がなぜヒトの精神疾患に効果があるのかということになるとその相関関係は依然明らかでない。一般に身体疾患に使用する薬物の治療効果を動物実験により解析する場合には正常動物を対象に選ぶよりも実験的につくられた病態動物を使用する方がより適確な成績を得やすいことは下熱薬や血圧下降薬その他において実証されている。したがつてPavlov(1927)がイヌで初めて実験神経症(experimental neuroses)と名づけたヒトの精神疾患によく似た異状事態を,実験的に再現することが可能ならば動物で検証する研究手段のなかつたヒトの精神疾患の本態の解析になんらかの手がかりが与えられるばかりでなく向精神薬の作用機序の分析もまたより明解になるのではなかろうかと考えられる。
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