今月の表紙 帰ってきた寄生虫シリーズ・11
イヌ・ネコ回虫など
藤田 紘一郎
1
1東京医科歯科大学大学院国際環境寄生虫病学
pp.1476-1477
発行日 2000年11月15日
Published Date 2000/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904610
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砂場がイヌやネコのトイレ代わりになり,イヌ・ネコ回虫症の感染の場として論議の的になっている.イヌ・ネコ回虫症はToxocara canis,Toxocara cati,などトキソカラ属の回虫がヒトに経口感染して起こる.ヒトは固有宿主ではないため,ヒト体内では幼虫のまま体内を移動して多彩な症状を示す.イヌ回虫成虫は生後3か月くらいまでの仔イヌの腸管に寄生し,糞の中に虫卵を排出する(図1,2).ヒトへの感染には,3つの経路が考えられている.①公園などの砂場に散布されたイヌ・ネコ回虫卵が手指について経口感染する,②イヌ回虫の待機宿主であるニワトリやウシの肝臓またはささみ肉の生食による,③イヌ・ネコの毛に付いた虫卵をゴミなどとともに摂取する場合が考えられている.特に小児においては公園などの砂場が感染の場として重要視されている.しかし,砂場のイヌ・ネコ回虫卵汚染と感染との関係には不明な点が多い.最近増加している症例のほとんどは,成人がニワトリやウシの肝臓などを生食して感染した例である.
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