Japanese
English
特集 脳の生理
〔10〕大脳側頭葉の実験生理学的研究
EXPERIMENTAL PHYSIOLOGICAL STUDIES ON TEMPORAL LOBE
岩田 金治郎
1
,
橋本 義雄
1
,
中島 典英
1
,
中島 正光
1
,
都守 淳夫
2
,
河合 雅雄
2
,
伊谷 純一郎
2
Kinjiro Iwata
1
,
Yoshio Hashimoto
1
,
Norihide Nakajima
1
,
Masamitsu Nakajima
1
,
Atsuo Tsumori
2
,
Masao Kawai
2
,
Jun-ichiro Itani
2
1名古屋大学医学部橋本外科
2Japan Monkey Center
1Dept.of Surgery, Nagoya Unlv. School of Medicine
pp.589-590
発行日 1962年7月1日
Published Date 1962/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201288
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- Abstract 文献概要
Limbic system (大脳辺縁系)や側頭葉の研究に,実験生理学的立場より,われわれはprimates(霊長類)を実験的に選び猿を使用して長期観察を続けている。現在まで,われわれがたしかだと思う側頭葉の脱落症状は,macroscopicには1)感情の著変,2) hypermetamorphosis, 3)hyperoral-tendeucy, 4)失認 5)食餌習性の変化,6)音声の変化であり,この症状発現には両側性の侵襲が必要である。この症状の実際を16mmの映画に記録し供覧した。すなわち。
猿は猿類の毛皮を非常に怖れるので本能的な恐怖を示し,われわれはこれをfur-reactionと呼んでいるが,手術猿はまつたく恐怖反応を失なう。かえつて逆に口吻を近づけ検査する動作,すなわちoral tendencyの動作を示す。ついでこれを前肢につかみとり検査すべく努力し,異常に強い興味を示す。また日本猿は普通廿日鼠などの小動物に対し警戒反応を示し,慎重でありそれに雑食で肉食は普通みられないのに,手術猿は廿日鼠や蛙を示すとはじめoral tendencyの動作を示し,ついでつかみとり検査し最後には,屠殺しこれを食す。その間の動作はそれぞれ順序よく合目的であるがこのように著明な態度の変化を示す。
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