Japanese
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特集 脳の生理
〔12〕視床下部を中心にした条件反射
THE ROLE OF HYPOTHALAMUS IN CONDITIONED REFLEX
伴 忠康
1
,
篠田 博之
1
,
塩谷 弥兵衛
1
Tadayasu Ban
1
,
Hiroyuki Shinoda
1
,
Yahe Shiotani
1
1大阪大学医学部解剖
1Dept. of Anatomy, Osaka Univ. School of Medicine
pp.609-618
発行日 1962年7月1日
Published Date 1962/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406201290
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戦後間もない頃Hypothalamusを刺激して胃運動の変化を観察していた際,体動によりtam—bourが動かないように,家兎の頭部を兩手で固定して刺激を与える操作を繰りかえしていたが,たまたま両手で頭部を固定するだけで,胃体運動のカーブに変化が現われることを認めた。これが条件反射によるものではなかろうかと考えたのがこの研究のそもそもの始まりである。そこでさらに進めて,Hypothalamus自身の電気刺激を無条件刺激とし,これに音を組みあわせて強化を行なつた。すると,音だけで,自律系の反応が種々の奏効器に起こるという条件反射を作ることに成功したので,1956年に欧文雑誌Med. J. of Osaka Univ.に発表した。自来,同一のテーマによる研究を続行してきたが,学会において発表するのは今回が初めてであり,諸賢の御批判を仰ぎたい。この条件反射は,Pavlovらによる第1型式と異なり,無条件刺激による求心性刺激が省略されて,そのまま自律中枢自体を刺激することが無条件刺激となつている点,新らしい試みであると考える。
動物は性周期的な反応を極力さけるために体重2.5kg前後の雄性成熟家兎を用い,条件づけは第1図に示す継時条件反射によつた。電気刺激は2V.の蓄電池に接続したPorter型感応コイルおよび一部,6msec. 60c/sec, 1.5-2.0V.の矩型波を用いた。反応用式には本質的な差異はない。強化は5分ごとに,1日20回ぐらい行なうのを原則とした(第2図)。
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