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あとがき
內村 祐之
pp.128
発行日 1952年3月1日
Published Date 1952/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200271
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日本醫學會總會の準備に忙殺されていた頃から,早くも一年經つた。夢のようである。この總會を通じていつも頭の中に往來したことは,數多くの分科會の間に開催形式の上で連絡がなく,切角同一の場所で總會を開いても,その効果を十分にあげ得ないように思われたことである。
學問が進歩するにつれて,1人の學者の受けもつ領域がせまく深くなり,これに從つて特別の研究會や學會がだんだん多くなることは必然であつて,慶賀すべきことである。しかしこの傾向の陷りやすい缺點は獨善である。自分だけがこの道の專門家であるとの意識である。新らしい研究會や學會をつくる學者達は,その際同時に他の多くの關係學會と如何に連絡し,如何に協調すべきかを深く考慮しておくべきであると思う。分化はよい。しかし綜合を考えない分化には多くの期待はかけられない。現在の日本醫學のもつ大きな缺點はここにあるのではないか。
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