--------------------
あとがき
小川 鼎三
,
冲中 重雄
,
內村 祐之
,
淸水 健太郞
,
齋藤 眞
,
今田
pp.76-77
発行日 1948年11月1日
Published Date 1948/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406200013
- 有料閲覧
- 文献概要
◇神經學の近ごろの進歩はめざましい,25年まえに私どもが醫學部の學生であつたとき,近藤外科の臨床講義でとくに時間をさいて齋藤眞博士の腦手術を見せられたことがあつた。それは私どもに深い印象を植えつけた。そのころは精神科では分裂症に對するインシユリン療法はもちろんのこと,麻痺性痴呆に對するマラリヤ療法さえ,まだ行はれてゐなかつた。實に隔世の感がある。これからの25年に神經學はどういふ道をたどるであらうか。出發の大變おくれた日本の神經學は今から後は先頭を切つてすゝみたいものである。本誌がもつ使命もなかなか大きい。
◇ 1931年スイス國ペルソ市で開催された第1回萬國碑経學會の席上米國のH.Cushing數授は臨牀的病埋組織學的に精細に研究された腦彊瘍の自驗例を報告したが,その症例は實に2000例である。同學會は氏の學會に對し表彰を行なつたが,私は吳建先生について同學會に出膳することが出來,其當時の光景と,其時の私の感激と驚嘆を今も思ひ浮べる事が出來る。2000例と一口に云ふが,虫垂炎や肋膜炎の統計でも此數字に達する報告を行ふことは容易ではないのである。
Copyright © 1948, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.