呼と循ゼミナール
右心負荷とその周辺(5)—血管拡張薬
半田 俊之介
1
1慶応義塾大学医学部内科
pp.774
発行日 1983年7月15日
Published Date 1983/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204265
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血管壁平滑筋のtoneを減少するカルシウム拮抗薬の登場など循環器疾患の治療における血管拡張薬の有用性は広く知られている。血管拡張薬は主として静脈系に作用し心室の前負荷を下げる亜硝酸剤などと,nifedipiineに代表される主として動脈系を拡張し後負荷を減少する薬剤に分けられている。右心負荷とのかかわりあいを考える場合にも,このような概念を当てはめるならば,左心に対する高血圧症と同様に肺高血圧症,特に前毛細管性肺高血圧症およびこれに伴う右心機能の障害を治療する手段として血管拡張薬を用いることができる,対象となる疾患は各種の慢性肺疾患およびその急性増悪期.肺血管系を障害する膠原病,原発性肺高血圧症などである。肺高血圧の成因として肺血管の器質的病変に加え血管攣縮の併存,少くともある領域では平滑筋のtoneが保たれている,あるいは病変に先行してtoneの増加がおこっているとの前提あるいは仮定の上に立った議論であることばいうまでもない。従来より数多くの報告がみられるが,二三の経験をまとめてみたい。
狭心発作の治療に広く用いられているisosorbidedinitrateを肺小動脈抵抗の著しく上昇した慢性肺疾患例(図1,2)に舌下投与しその反応を検討した。
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