呼と循ゼミナール
右心負荷とその周辺(9)—左心への影響(その1)
半田 俊之介
1
1慶大義塾大学医学部内科
pp.118
発行日 1984年2月15日
Published Date 1984/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204382
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循環回路における右心・左心の相互関与は.血行力学的な影響として理解されてきた。たとえば、重症の右心負荷例では右心の心拍出量が減るので左心の前負荷が低下し,負荷のない左心の心拍出量も減少してしまうといった直列回路の論理である。このような論理とは異なる相互関与もありうるという最初のチャレンジは.左心負荷により中隔が右心側へ押されるため右室の流出路が狭小化し右心不全が生じるとした有名なBernheim症候群の発想であった。その後Cournand一派は血行力学的検討の上.これを否定する成績を発表している。しかし心のうにつつまれた単一の臓器である心臓の内部に右心と左心が存在し.中隔および心筋線維束を共有している以上.直列的な連がりの循環回路を介さない直接的で機械的な両心の相互関与があることは,当然のこととして推測される。
ここでは右心負荷が左心に及ぼす直接的な影響,すなわち左室の形態および機能の変化について述べる。
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