呼と循ゼミナール
右心負荷とその周辺(2)—非侵襲的診断法(その2)
半田 俊之介
1
1慶応義塾大学医学部内科
pp.314
発行日 1983年3月15日
Published Date 1983/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204197
- 有料閲覧
- 文献概要
右心負荷の非侵襲的評価法として,アイソトープ技術の応用がある。その一つはthalliurn 201を用いた心筋シンチグラフィ,他の一つはtechnetium 99m,などによる心プールスキャンニングである。前者は右室自由壁のアイソトープの取込みを,後者は右室の収縮を捉え負荷の様相を推則しようとする方法である。
アイソトープthallium 201は生体内で,カリウムイオンに類似した行動をとることが知られ,主として冠血流量に応じ細胞内のNa+K+ATP ase活性により心筋内に取込まれる。心室に対する圧あるいは客量負荷が心仕事量の増大に伴い心腔の拡張,心筋massの増加をおこし冠血流量の増大を招くことはよく知られている。従って右室負荷症例では,投与したthallium 201の右室自由壁への分布が増すことは容易に予測される。実際上,2mCi程度のthallium 201を静注し,約10分右,アイソトープが心筋内に取込まれた時点で,ガンマカメラにより心筋シソチグラムを撮像する。正常人では右室心筋の取込みは少いため右室自由壁は描出されない。左室自由壁および中隔部分のみが馬蹄型ないし円型の像を作る。ただし正常人でも著しい頻脈,たとえば運動負荷による心拍数の増大などの場合には右室自由壁の描出されることが多いのは知っておく必要があろう。右室仕事量の増大に伴う冠血流の増加などがその理由と考えられている。
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.