呼と循ゼミナール
右心負荷とその周辺(7)—肺うっ血(その2)
半田 俊之介
1
1慶応義塾大学医学部内科
pp.1130
発行日 1983年10月15日
Published Date 1983/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204321
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左房圧の上昇は肺循環系の内圧の増加により肺内血液量を増す方向に働く。しかし慢性うっ血性心不全例では必ずしも血管内圧の上昇に見合う肺内血液量の増加がみられないことを前回は述べた。その理由として,慢性的な肺高血圧により肺血管壁の器質的変化が生じ,壁の伸展性は低下していること,肺血管床の圧容量関係の曲線は,すでにプラトーに達し,それ以上に内圧が上昇しても,ほとんど容量の増大を伴わないであろうことなどを上げることができよう。わずかな容量の増加で内圧は急峻に上昇し,必然的に水分の血管外への漏出を容易にする。結果として生じる肺間質部分の水分の貯留は,間質の静水圧と上げ血管内外のtransmural pressureを減らし容量の増加を一層妨げる方向に働くことも推測される。
肺うっ血に伴うこのような肺間質部分の浮腫の基本的機序はStarlingの式によって説明することができる。
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