呼と循ゼミナール
右心負荷とその周辺(11)—左心への影響(その3)
半田 俊之介
1
1慶応義塾大学医学部内科
pp.556
発行日 1984年6月15日
Published Date 1984/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204454
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先に述べた右室左室間の直接的な機械的関与に伴う拡張期圧の波及効果について,その度合と機序をもう少し掘り下げてみたい。同じ実験モデルでさらに検討した。
直接的関与の度合については,右室拡張末期圧の変化分に対する左室拡張末期圧の変化分をみるのがよい(図1)。得られた回帰式によれば,右室拡張末期圧がかりに10mmHg上ると,左室拡張末期圧は6mmHgだけ押し上げられることになる。ただし実際の臨床例では多くの場合,右室拡張末期圧の上昇するような局面では右室の拍出量が減るため,左室の前負荷は減少して左室拡張期圧は低下する方向に動くので,先に上げた因子と相殺してしまい,一般に異常な高値をとらないものと推測される。なお右室から左室への関与ばかりでなく,逆に左室から右室への関与についても検証してみると,左室の圧が10mmHg上昇しても右室拡張末期圧は3.6mm—Hgしか上らず,波及効果のより少ないことが明らかとなった(図3)。
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