呼と循ゼミナール
虚血心における局所心筋動態—臨床的研究(その2)
松崎 益徳
1
,
久萬田 俊明
1
,
楠川 禮造
1
1山口大学第2内科
pp.1282
発行日 1980年11月15日
Published Date 1980/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203671
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冠動脈狭窄を有す患者において,その狭窄血管によりsupplyされる心筋の動態は,その心筋の酸素需要量と心筋への酸素供給量とのbalanceにより規定される。狭窄血管の支配下にある局所心筋も,梗塞の既往がなく,現在,虚血が進行していない時期には,有意な冠狭窄があるにもかかわらず,多くは正常な動態を呈する。狭心症例の左室造影や心エコー図所見に何ら異常がみられないのが普通である。これは,局所の心筋の酸素需要量と供給量とのbalanceがcrlticalはlevelで保たれているためである。しかし,この両者のいずれかを変化させ,balanceを崩すことにより局所心筋は容易に虚血に陥り,壁動態にも異常が出現する。臨床においては,酸素供給量を減少させることは困難であり(Ergonovine maleateによるcoronary spasrn作成は供給量の減少であるが),専ら,心筋酸素需要量を増加させる手技が用いられる。
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