呼と循ゼミナール
虚血心における局所心筋動態—臨床的研究(その1)
松崎 益徳
1
,
久萬田 俊明
1
,
楠川 禮造
1
1山口大学第2内科
pp.1110
発行日 1980年10月15日
Published Date 1980/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203645
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1935年,TennantとWiggers1)が実験犬において冠動脈結紮後,心室壁の収縮期膨隆(systolic bulging)の出現を認めてより,虚血心筋の動態に関する研究は,近年,循環器学や生理学を学ぶ者にとり大きな関心事となっている。実験的研究の項で述べたごとく,実験犬においては急性心筋虚血時や慢性的な虚血に陥った局所心筋の異常動態に関する研究は多く,その実験結果より出された事実は,人の虚血心筋動態の解析に広く応用されている。しかし,臨床においては,その方法論的困難さにより,急性虚血心筋の局所の動態変化を経時的に追うことは不可能に近く,局所の動態異常と,whole heartのhemodynamicsとの緻密な関係についての研究も今後の課題である。実際,臨床例においては局所心筋(心室壁)の動態異常の程度と左室機能の間には,直線的な関係はなく,動態異常を呈す壁の広さと健常(非虚血)壁のreserve functionが問題となる2)。
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