呼と循ゼミナール
虚血心における局所心筋動態—実験的研究(その4)
久萬田 俊明
1
,
松崎 益徳
1
,
楠川 禮造
1
1山口大学第2内科
pp.470
発行日 1980年5月15日
Published Date 1980/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203560
- 有料閲覧
- 文献概要
冠動脈を徐々に閉塞すると副血行路(collateral)が発達する。その機序は種々であり,虚血,大動脈と閉塞部以下との圧較差,血流速度,あるいは血管のstressなどがその促進因子として報告されている。人間のcollateralは直径100-200μのものが多く,心房や心室筋層へ分布するが,その発達はイヌに比べて遅いといわれている。
イヌ冠動脈を急性結紮すると微少ではあるがcollate—ral circulationを認める1)。しかし,主幹からの血流の杜絶はendocardiumとepicardiumの血流比(ENDO/EPI)を著明に低下させ,心筋に虚血をもたらす。結紮後数週ないし数カ月たつと,閉塞された動脈の末梢血管圧(peripheral coronary pressure)は大動脈圧に等しいレベルにまで上昇し,retrograde flowは結紮前の冠動脈血流量を越える2)。心筋の壊死範囲は広いが結紮された冠動脈の灌流域全体には及ばない。
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.