呼と循ゼミナール
虚血心における局所心筋動態—実験的研究(その3)
久萬田 俊明
1
,
松崎 益徳
1
,
楠川 禮造
1
1山口大学医学部第2内科
pp.346
発行日 1980年4月15日
Published Date 1980/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203542
- 有料閲覧
- 文献概要
正常心の左冠動脈血流は拡張期優位であり,収縮期血流は拡張期のわずか20%程度にすぎない。とりわけ収縮期血流のほとんどは心室壁表在層(subepicardium:EPI)を灌流するといわれている。intramural tissue pressureは心内圧と最短距離にある心内膜下層(subendocardi—um:ENDO)ほど高く,EPI側ほど低い。それゆえ収縮期にはENDOの壁応力は冠灌流圧(⋍大動脈圧)に勝り,ENDOへの送血は機械的に障害される。一方,拡張期にはtransmural pressure gradientがほとんど消失するためENDOへの送血が可能となる1)。ENDOとEPIとの間にこのような送血の差が存在するにも拘らず,収縮期および拡張期を含めた一心拍のENDOとEPI各々の血流量の間には差がなく,両者の比(ENDO/EPI)は1.0以上に保たれる1)。両心筋層へのこの均等な血流分布は以下の理由によるといわれている。
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.