呼と循ゼミナール
運動負荷における仕事量
谷口 興一
1
1東京医科歯科大学第2内科
pp.50
発行日 1975年1月15日
Published Date 1975/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202709
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生体に運動を負荷すると,各臓器の酸素需要が増大し,呼吸循環系の予備力が動員されるが,その能力を越え,酸素の需要と供給のバランスが崩れると,生理学的に異常な病態像が出現する。安静時には一見正常機能に見えても,運動負荷を与えると異常な病態像を惹起する。つまり安静時にはmaskされている潜在性の機能障害を,運動負荷により発見することも可能である。運動負荷は広く臨床面に応用されているにも拘らず,呼吸,循環系の反応,エネルギー代謝,あるいは神経調節など生理学的にまだ解明されてない問題が少なくない。運動負荷の種類は筋肉の運動様式という観点から2つに分けられ,固定された一定の抵抗の下で行なわれる持続的運動,等尺性負荷と筋肉の収縮と弛緩の連続的交互交互施行である力学的負荷である。また運動負荷の方法は,等尺性負荷においては握力計を用いたhand-grip法や一定重量の錘りを一定時間持ち続ける著者の定滑車法(第38回日循総会発表)などがあげられる。力学的負荷にかんしては階段昇降法,足設屈伸法,歩行法,エルゴメーターおよびトレッドミルなどがあるが,その評価もまちまちである。定量的運動負荷としてはergometerとtreadmillが用いられる。
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