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講座 運動負荷の基礎医学(3)
運動負荷と体液量調節
Body Fluid Regulation during Exercise.
三木 健寿
1
Kenju Miki
1
1産業医科大学第2生理学教室
1Department of Physiology, University of Occupational and Environmental Health
キーワード:
運動負荷
,
体液量調節
,
体液組成
Keyword:
運動負荷
,
体液量調節
,
体液組成
pp.723-729
発行日 1990年9月10日
Published Date 1990/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106346
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はじめに
体液は体重の約50~60%を占め,①血漿(5%),②間質液(15%)および③細胞内液(40%)に分けられる.血漿と間質液を合わせて細胞外液(20%)と呼ぶ.図1に示したように,各分画量は60kgの成人で血漿量は3l,間質液は9l,そして細胞内液は約24lである.
飲水,飲食による水分・電解質摂取と,尿,汗などの水分・電解質排泄のあいだにはフィードバック機構があり,体液量およびその組成は一定に保たれて平衡状態をつくっている.運動負荷はこの体液平衡状態を乱し,体内各分画間で水分移動を生じさせる.
本稿では,運動に伴う体液移動現象と,その機構について下記の4項目に大別し概説する.
1)運動負荷前の環境,条件
2)運動負荷による血漿-間質液-細胞内液間での体液移動
3)体液量およびその組成の変化を感知し,補償するためのフィードバック機構
4)運動負荷時の水分および電解質摂取の生理学的意味とその方法
ここでは基礎的な観点から,主に自転車エルゴメーターあるいはトレッドミルで得られた正常成人のデータをもとに解説を試みる.
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