徹底分析シリーズ 周術期の輸液管理
麻酔導入時の輸液負荷:術前脱水量を考慮した麻酔導入時の輸液負荷について
佐藤 健治
1
Kenji SATO
1
1岡山大学病院 麻酔科蘇生科
pp.10-13
発行日 2009年1月1日
Published Date 2009/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100561
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
吸入麻酔薬による全身麻酔の導入や交感神経を遮断する脊髄くも膜下麻酔では,末梢血管の拡張により相対的に循環血液量が減少する。そこに前日からの絶飲食による脱水が加わると,血圧は著明に低下するので,低血圧防止には不足分の補正が必要である。私が麻酔科医となった20年ほど前は,麻酔導入時は点滴を全開で落とせ,と耳にたこができるほど教え込まれたものである。三つ子の魂とは恐ろしいもので,いまだになんとなく輸液セットのクレンメを開けながら,ぼんやりと次のような疑問も頭をかすめる。
疑問1:術前絶飲食で本当に血管内脱水になるのか?
疑問2:術前絶飲食は麻酔導入時の循環動態に影響するのか?
疑問3:preloadingは麻酔導入時の低血圧を防止できるか?
疑問4:preloadingの効果は製剤の種類(晶質液vs膠質液)で異なるか?
疑問5:preloadingの効果はタイミング(麻酔開始前vs麻酔開始後)で異なるか?
疑問6:血管内脱水に対する代償性の輸液補正は術後アウトカムを改善させるか?
Copyright © 2009, "MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD." All rights reserved.