Japanese
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特集 心機能検査
心仕事量
Cardiac Work
中村 芳郎
1
Yoshiro Nakamura
1
1慶応大学医学部内科学教室
1Department of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.87-93
発行日 1970年1月15日
Published Date 1970/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202111
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はじめに
心機能の表現として力学的概念を入れることは,心臓の主要なはたらきがポンプであるためにあまりにも当然であるが,不幸にして血液は赤血球・白血球を含んだ複雑な流体であり,血流は非定状流で簡単な物理的知識で割切れるものではない。その複雑な流れを作る心臓の仕事を,主として臨床的にすなわち生体をできるだけ侵襲のない手技で測定したいと考える場合,多くの不正確さを覚悟しなければならない。さらに,ある状態で,心臓の力学的計測が正確になされたとしても,たとえばその仕事量がその心臓にとって何の犠牲もはらうことなしに行なっているものか,あるいは予備能力をほとんど全て費して行なわれたものであるかは表現されず,統計的にその変化が心臓の異常をひきおこす,または心臓の異常によっておこるものであることを推測するにすぎないことになる。
心仕事量は直接測定されるものではなく,計算上得られる数値であるから,その測定法はなく,計算法があるだけである。ここではその計算法とその評価について述べることとする。
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