Japanese
English
綜説
Cardio-Metabolic “Clock” and “Memory”―「臓器の時間」の医学応用
Cardio-Metabolic “Clock” and “Memory”
伊藤 裕
1
Hiroshi Itoh
1
1慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科
1Division of Endocrinology, Metabolism and Nephrology, Department of Internal Medicine, Keio University School of Medicine
pp.603-614
発行日 2012年6月15日
Published Date 2012/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101981
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
「臓器の時間」と臓器“クロック”
筆者は,生命活動とその破綻,疾病発症,そして寿命の決定において,われわれ人間を「多臓器の集合体」として捉えることが重要であると考えている.人生の時間は,われわれの体を構成する様々な臓器において,同じペースで流れているわけではない.それぞれの臓器は本来「固有の時間」を持っている.しかし,個体としての円滑な生命活動の維持のためには,それぞれの「臓器の時間」がある程度同期して,いわば,多臓器連合の“統一時間”を持つ必要がある.これが生物時計の意義であり,その軌軸となるものが,「時計遺伝子」と呼ばれる一連の転写因子群である.
時計遺伝子の蛋白産物は,大きく三つの群を形成し,それぞれのグループが,お互いの働きを促進あるいは抑制することでフィードバックループを作り,継続性のある周期を紡ぎだしている.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.