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第1土曜特集 人生100年時代を見据えて がんと生活習慣病(心疾患/糖尿病/CKD/MAFLD)を再考する──共通リスク因子,予防・治療の最新アプローチ
トピックス
Metabolic Oncology
-――糖尿病と血液悪性腫瘍
Metabolic Oncology
――Mechanistic link between type 2 diabetes mellitus and hematological malignancies
仲地 佐和子
1
,
岡本 士毅
1
,
益崎 裕章
1
Sawako NAKACHI
1
,
Shiki OKAMOTO
1
,
Hiroaki MASUZAKI
1
1琉球大学大学院医学研究科 内分泌代謝・血液・膠原病内科学講座(第二内科)
キーワード:
Sodium-glucose cotransporter-2(SGLT2)
,
ワールブルグ効果
,
成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)
,
血液悪性腫瘍
,
Metabolic Oncology
Keyword:
Sodium-glucose cotransporter-2(SGLT2)
,
ワールブルグ効果
,
成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)
,
血液悪性腫瘍
,
Metabolic Oncology
pp.867-874
発行日 2023年9月2日
Published Date 2023/9/2
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28610867
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2型糖尿病患者では,種々のがん発症リスクが高まることが明らかになっている.とりわけ,血液悪性腫瘍は日本を含むアジア圏の2型糖尿病に併発するがん種別のなかでもハザード比が極立って高値を示している.筆者らは,超難治性血液悪性腫瘍の代表格であり,ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の長期感染に起因する成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)細胞において,sodium-glucose co-transporter type 2(SGLT2)が健常血球細胞に比べて著しく高発現していることを発見し,糖尿病治療薬であるSGLT2阻害薬ががん細胞の増殖を顕著に抑制することを見出した.HTLV-1感染細胞株を用いたメカニズム解析から,SGLT2阻害薬は悪性度の高い急性型ATL細胞において著明に亢進するグルコース取り込みを減少させ,解糖系とペントースリン酸回路を同時に阻害し,細胞周期の抑制を介して抗腫瘍効果を発揮することが示された.血液がん治療の新規アプローチとして,がんの糖代謝特性に注目したMetabolic Oncologyが期待される.
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