メティチーナジャーナル 代謝
Metabolic Myophathies—最近明らかにされた筋疾患
田崎 義昭
1
1東邦大内科
pp.779
発行日 1965年5月10日
Published Date 1965/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200843
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近年,筋疾患の研究はいちじるしく進歩し,臨床的に興味深い知見が数多く報告されつつある。
このようなめざましい発展をとげた主な理由は,酵素学を主とした生化学的,組織化学的研究の進歩,電子顕微鏡による筋の微細構造の検討などによるものである。生化学的異常が明らかにされている筋疾患のうち,metabolic myopathiesと呼ばれているものに最近多くの関心が寄せられている。これには(I)骨格筋の解糖系代謝異常によつて起こるもの,(II)家族性周期性四肢麻痺,(III)mitochondriaの代謝異常によるものが含まれている。いずれも稀な疾患である。(I)は糖原病glycogen storage diseaseの一種で,先天的な酵素の欠損によつてグリコーゲンの代謝異常がおこり,myopathyを示すものである。このうちMcArdle病は1951年に初めて報告され,特有な筋症状を主症状としている。発病は小児期のものが多く,運動後に筋肉が有痛性の痙攣を起こす。硬直状態の筋を筋電図で調べると電気活動が完全に消失している。また上腕をマンシエツトで圧迫し,虚血状態にしておいて前腕,手の運動を行なわせ,肘静脈血の乳酸を測定すると,正常人では明らかに増加するのに,McArdle病では増加を示さない。しかも筋の硬直時にブドウ糖を静注すると症状が軽快する。
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