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はじめに
わが国で喘息治療薬として現在使用されている吸入ステロイド薬(ICS)には,表1に示すように,ベクロメサゾン・ジプロピオネート(BDP)とフルチカゾン・プロピオネート(FP),ブデソニド(BUD),シクレソニド(CIC),モメタゾン(MF)の5種類が存在する.一方,各製剤をその吸入方法から分類すると,基剤に代替フロンガスであるHFA(HFC-134a)を用いたpressurized Meterd-Dose Inhaler(MDI)製剤,自己の吸気力で粉末をエアロゾル化して吸入するDry Powder Inhaler(DPI)製剤,そして吸入用懸濁液をジェットネブライザーでエアロゾル化して吸入する吸入懸濁液(SUS)製剤の3種類が存在する.
MDI製剤は全てHFAを基剤としているため,フロンガスのようにオゾン層の破壊はないが,地球の温暖化に対しては二酸化炭素の1,300倍高く,今後さらに新しい基剤の開発が期待される.長所として,スペーサーを用いれば乳幼児や高齢者でも吸入できること,そしてエアロゾルの粒子径が小さいため末梢気道に到達する可能性も報告1)されている.また,噴射圧の差が吸入効率に影響を与えることも報告されており2),臨床での薬剤選択時の一つの指標を提供する.一方,DPI製剤の長所は自己の吸気力のみで微細粉末をエアロゾル化するため,余分なエネルギーを必要とせず,環境破壊を誘発しないことであるが,乳幼児や高齢の患者が有効に使用できない場合もあることが欠点である.また,SUS製剤は使用機器としてジェットネブライザーを購入する必要はあるが,環境破壊は全くなく,乳幼児や高齢者にも適応できることが長所である3).このようにそれぞれの製剤には,それぞれの長所と短所があり,患者の状態に応じて使い分けることが必要である.
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