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あとがき
相澤 久道
pp.232
発行日 2009年2月15日
Published Date 2009/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101216
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「喘息とCOPDの増悪をめぐって」が今月の特集テーマであるが,喘息もCOPDも増悪の季節である.以前は多くの患者がこの季節増悪のため入院していた.特に,1995年はインフルエンザが大流行した年でもあったが,ベッドを確保するのが困難な程であった.その当時に比べると,喘息もCOPDもコントロールがよくなり,増悪自体も少なくなり,増悪を起こしても外来通院で管理可能な人が多くなった.
喘息について言えば,吸入ステロイドの普及のおかげであることは論を待たない.COPDについても,それぞれの薬物療法の効果,非薬物療法による管理の向上によるものであろう.特に,近年行われたMISTRAL,TORCH,BRONCUS,PEACE,UPLIFTなどの大規模臨床研究では薬物療法により有意に増悪を減少させることが報告されている.さらに,最近ではCOPDの自然歴を変え予後を改善することも報告されてきた.これらの成績を詳細に検討すると,高血圧や高脂血症に対するカルシウム拮抗薬,アンジオテンシン阻害薬,アンジオテンシンII受容体拮抗薬,スタチンなどの臨床研究の数値と遜色ないものである.私たちはもっと「COPDは治療によって症状はよくなり,長生きできる病気です.COPDは治療しなければならない病気です.」ということを呼吸器専門医以外の医師や一般市民にも訴えていかなければならないと思う.
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