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あとがき
相澤 久道
pp.1080
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101570
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この6月から厚生労働省健康局長の元に「慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防・早期発見に関する検討会」が作られた.これまでCOPDは過小評価・過小診断されている代表的な疾患であり,医療関係者や一般市民への啓発が重要であると繰り返し強調されてきた.この度,厚労省の主導でこのような検討が始まったということは,COPD診療にとって画期的なことであり,今後の展開が期待される.
さて,今月号の特集は「呼吸器疾患と分子標的治療」であるが,ここ数年「分子標的治療」という言葉からは,肺がんの新しい治療という印象が強かった.それほど,gefitinibのインパクトが強かったわけである.それまで,抗がん剤は「毒をもって毒を制す」というように細胞毒性の強い薬剤であった.肺がん領域ではgefitinibは初めて新しい薬理学的作用機序を有する薬剤であり,しかも著効する例もあるため非常に画期的な薬剤であった.分子生物学の目覚ましい進歩は,細胞の中で起こっている動きを私たちに具体的に示してくれるようになり,どこの段階を止めたらどのような変化が現れるかの予想も可能にしてくれた.その結果がEGFRやVEGFというような分子をターゲットとした薬剤の開発に繋がってきた.
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